新年を迎えるにあたって、前年の罪禍(ざいか)を悔いあらため、新しい年の門出を祝い天下の平和と万民の幸福を祈る行事であります。 正月というと、神社へ参拝するという印象が強いようですが、是非とも、所属のお寺や本山の正月行事にお参りしていただきたいものです。
涅槃(ねはん)とは、古代インド語のニルバーナを漢字で音写したものとされています。 もえさかる煩悩(迷いや苦悩、欲望)の火をうち消して、さとりの智慧を得たという意味です。 お釈迦さまは、80歳でインド・クシナガラの沙羅双樹(さらそうじゅ)のもとで、 お亡くなり(入滅)になりました。
仏教では、お釈迦さまの死を単なる死とせず、永遠の真理である悟りの世界におかえりになったと理解し、お釈迦さまのお徳をしのぶようになりました。 日本ではこの日を2月15日として、涅槃会をつとめるようになりました。
花の咲き香る春に行う行事なので”お花まつり”と呼ばれます。 正式には釈尊降誕会(しゃくそんごうたんえ)、灌仏会(かんぶつえ)、仏生会(ぶっしょうえ)などというのです。
4月8日は、2,500年前にお釈迦さまが現在のネパールにあるルンビニという所でお生まれになった日とされます。 お釈迦さまがお生まれになった時、甘露(かんろ)の雨が降ったという言い伝えから、花まつりには花御堂(はなみどう)に誕生仏を安置して、上から甘茶をそそいでお祝いする行事が広く行われております。
また、大きな白象をつくって、その背に花御堂をのせ、お稚児(ちご)さんと共に引いて回る行事も長い間つづいていましたが、近ごろは交通事情からあまり行われないようです。
お彼岸という場合の彼岸は、この世を離れた彼(か)の土(くに)、彼の岸のことをいっています。 つまり迷いの現実界から、理想の世界、さとりの世界へと至ること「到彼岸(とうひがん)」が、元来の意味なのです。
昼夜の長さが等しい春分や秋分の中日(ちゅうにち)には、太陽が真東から出て真西に入ることから、この日に夕陽を拝むと、浄土の東門を拝むことになるといわれます。 こういう時期にこそ、この世を超えた彼岸を想(おも)い、亡き人をしのんで春、秋にお供養をしようというのが 彼岸法要なのです。
中日をなかにはさんで、7日または3日間、家庭でも仏事を営む習慣になっていますが、お仏壇には「牡丹餅」や「お萩(はぎ)」「お彼岸団子」などをお供えします。 また、お彼岸には必ずお寺参りをしたり、お墓へお参りする風習が全国的に行われています。
インドの言葉のウランバーナを中国では漢字で音写して、盂蘭盆(うらぼん)と書きました。 その、うらぼんの省略が盆の一字なのです。
ウランバーナというのは、倒懸(とうげん)といって、逆さ吊りからの救いを意味しております。 お釈迦さまのお弟子の目連さんが、亡き母がどこに行っているか、神通力で見せてもらったところ、餓鬼道(がきどう)に落ちて苦しんでおられました。 そこで目連さんは、お母さんがどうしたら救われるかを尋ねました。 お釈迦さまは、7月15日は坊さんが百日の修行(夏安居 ・げあんご)を終えて伝道(でんどう)に出る日だから、お坊さんがたにご供養しなさいといわれたのです。 目連さんのお母さんは、その供養の功徳(くどく)によって救われました。
逆さ吊りの餓鬼道の苦しみに堕ちないよう、先祖の霊にお供養するという、うらぼんの行事は、この目連さんの故事に由来しております。
お盆には真宗をのぞいて、盆棚(ぼんだな)・精霊棚(しょうりょうだな)とよぶ祭壇を設ける宗派が多いようです。 仏壇の前や座敷の隅の台にマコモ(真菰)を敷き、四隅に青竹を立て、台の上にお位牌を安置し、霊前への膳や果物、野菜をお供えします。 またナスやキュウリで作った牛や馬なども置きます。 これは百味の飲食(おんじき)を全ての餓鬼に施すことを意味しております。 この盆棚の前で、所属の寺のお坊さんが先祖に回向(えこう)するお経を読みます。 これを「棚経(たなぎょう)」と呼びます。
ナスやキュウリで牛や馬をつくって、おかざりすることについては、ご先祖の霊がその牛や馬の背に乗って来られるよう準備したものだといわれています。 それで、お盆の前には牛や馬を内へ向けて置き、お盆の終わった16日には家の外へ向けて置くこととなっています。 ナスやキュウリにきびがらをさして足とし、とうもろこしの毛で尻尾、小豆で両眼を入れ、南天の葉をさして耳とし、さらにサヤエンドウを鞍として置きます。
大施食会の法要は、ご先祖、縁者はもちろん、無縁の仏様、全ての精霊を供養するために行われる行事です。
また、生きとし生ける全ての生命を尊び、施しの心を新たにすることが、施食会の大切なところです。
成道(じょうどう)とは、お釈迦さまのおさとりのことをさします。
インドの釈迦族の皇子としてお生まれになったお釈迦さまは、29歳のとき、それまでの何不自由ない生活と王宮、家族を捨てて、出家されました。 そして6年間の厳しい苦行(くぎょう)と求道(ぐどう)の修行を経て、インド・ブッダガヤの菩提樹のもとで、おさとりを開かれたのです。
日本ではこの日を12月8日として、成道会(じょうどうえ)がつとめられます。